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2015年2月2日月曜日

大学院生活の折り返し地点



早いもので、大学院での初年の生活が終わろうとしています。

本当に早い時間の流れで、自分が何かやっても、次々押し寄せるタスクに圧倒され、自分がやったことをきちんと省察できずにいました。

そこで、少しこの1年を振り返ってみようと思います。


■ 研究について

院に入って(入院して)から、多くの出会いがありました。その出会いとは、学友であり、先生であり、バイト先の生徒であり、ライティングセンターのメンバーであり...。学友も、英語教育研究や翻訳研究、哲学、心理学、国語教育など、幅広い方々とご一緒させて頂くことができました。これらの出会いから自分が得たものは何にも代えがたいでしょう。


特に大学院で出会った方々からは多くの刺激を受けました。研究に打ち込んでいる方からは「自分の研究はまだまだ」ということを思い知らされましたし、深い思考を持って行動されてる方からは「お前はまだまだ子どもやな」といわれている気がしていました。(笑)あと1年しかありませんが、少しでもましな研究者・教育実践者に、そして少しでもまともな大人に、なれればと思います。


研究テーマも多く移り変わりました。当初は翻訳と言語意識に興味があり、翻訳不可能な駄洒落や詩を訳そうとするときの学習者の意識記述に興味があり、それに関する文献を読んだり調査をしたりしました。その後、「英文和訳」と「翻訳」を区別するための研究構想を立てましたが、実験計画をうまく立てることができず、現在は英語教師の訳出意識をテーマに再び動き出そうとしています。


あっちこっちに研究が行っていて、あと1年でまとまるのかしらと思ってしまいますが(苦笑)、きちんと修士論文を提出できるように頑張ります。


■ 他者論について

研究以外にも、自分の関心は移り変わります。初めの頃は、他者論に興味がありました。「なぜ他者はわかりあえないのか」をウィトゲンシュタインの『哲学探究』をベースにして考え、平田オリザのコミュニケーション論に一時期夢中になりました。


夏休みの教育哲学特講以来は「いかに他者と(相互)承認できるか」という問いに変わり、苫野一徳や山竹伸二らの議論を読みました。そのような抽象的な「承認」論をやっていると、より臨床的な知見も気になり、カウンセリングの理論も河合隼雄や熊倉伸宏も勉強しました。


また、「他者をいかに承認するか」と問い出した結果、普段の自分は現前する他者に対して承認できているのか、また、自己を出せているのかということも(結果的に)問われることとなりました。おそらく高校の頃のトゲトゲしかった自分よりは、相手を認めることは少しはできているかもしれません。しかし、そのような他者を前にして、いかに自己を出すかということも今後は考えなければいけないのかもしれません。


また、「他者」とのコミュニケーションを英語授業で取り入れる方策としての演劇にも興味が出たため、演劇を観たり学んだりということもしました。演劇は、今年の夏に舞台を観にいく機会があり、それ以来興味が再燃しました。最近は、国際表現言語学会に参加したり、演劇ワークショップに参加したりしています。演劇ワークショップでは、自分の身体の使い方を客観的に観察することもでき、大変貴重な経験になったと思います。DOCSという演劇ワークショップを経営する学生団体の方々とも知り合うことができたので、今後も時間を見つけて参加できればと思います。


■ 趣味について

指導教員の影響やゼミの後輩から影響を受け、カメラを買うこととなりました。友人に比較すれば圧倒的にへたくそな写真ですが、それでも自分が見た世界を画像にして取っておけるというのは面白くて、昔の写真を見ながらそこで感じたことや当時の自分の状況を思い返しています。また、カメラを携えて歩いていると、普段目に留めもしないようなものに気付くことがあります。それは、葉っぱ1枚であったり、近所の木であったり、雨上がりの道路であったりします。去年は同じ道を歩いていましたが、まったく気付かずに素通りしていました。カメラのおかげで、少し世界を広げられた気になっています。


また、学部4年の頃から始めたドイツ語もひっそり続けています。具体的には、ドイツ語の教科書の会話文を聞いて音読したり、好きな歌のドイツ語版を何回も聞きながら口ずさんだり、ミヒャエル・エンデの『モモ』を辞書片手に必死に読んだりしております。語学教育に携わる者として、自分の語学教育すらできていないのかと思うくらい上達が見られないのですが(泣)、最近は、英語が苦手な子の気持ちを理解するのにも良いなと思って、やや暴走気味なほど楽観的にやっています。2月の頭から3月の中旬までドイツのドレスデンというところに留学に行って、ドイツの空気を肌で感じてこようと思います。




■ 今後の課題について

(研究)修士論文を提出する。また、学会発表を行う。

・まずは最低限、修士論文を提出できるくらいのことはしなければなりません。できれば、先輩方がされたように、修士論文でやろうとしていることを形にして学会などで発表できれば良いな~と思います。



(哲学)ヘーゲル『精神現象学』『法の哲学』を読みすすめる。

・自分が注目してきた思想家がヘーゲルを論拠にしていたことから、今年はヘーゲルを読もうと思い立ちました。現在は西研氏の『へーゲル・大人のなり方』を読んでいます。



(哲学)アダム・スミスの『道徳感情論』を読み、モラルに関する自分の考えを深める。

・柳瀬陽介先生が面白いと仰っていたこともあり、山竹先生も自らの承認論に取り込んでいたアダム・スミス。当面は、堂目卓生氏の『アダム・スミス』を読みながら、ちくま学術文庫の『道徳感情論』に進みたいと思います。これも、他者論の文脈で読める部分があるのではないかと思っており、自分の他者観にも影響があるだろうなと踏んでいます。




(翻訳)英語(ドイツ語)と日本語の翻訳演習を続ける。

・英語に関しては、安西先生の『翻訳英文法』を、ドイツ語は、『ドイツ語おもしろ翻訳教室』を用いて、言語学習者として、そしてアマチュア翻訳研究者のはしくれとして、翻訳実践は欠かさないように心がけたいです。



(教育)塾のバイト、非常勤講師としての仕事を全うする。

・最終的には、自分がやっている翻訳論や哲学、演劇論、心理学、などを束ねるのが、この教育実践だと思います。授業観についてもできるだけ省察をしながら丁寧に続けようと思います。看護学校での実践経験を積むこともできるので、これまでの自分の授業を反省しつつ、新しい一歩になるようにします。具体的には、「力をつけつつ、『ゲーム』的に進行する授業」です。




(ジム)週に1回行き続ける。

・11月くらいからは、月に2回ペースになっているので、ドイツから帰ってきたら、できるだけ週1ペースを守ろうと思います。




取りとめもない文章でしたが、今年ものんびり記事を更新できればと思います。

本年もよろしくお願い致します (^^)