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2015年11月16日月曜日

日本翻訳ジャーナルの記事に紹介して頂きました!

こんにちは。 mochi です。
某看護学校での非常勤勤務も無事に終えて、あとは修士論文に向けてまっしぐら!のはずが、ほとんど筆が進まずに悩んでおります(笑)。

学部の卒論の二の舞にならないよう、もう少しこれから研究時間を割きたいです。

さて、突然ですが、先日学会で口頭発表した内容について、『日本翻訳ジャーナル』の記事でご紹介いただいたので、ここにリンクを掲載させていただきます。(なお、編集者の方の許可は頂いております。)

日本翻訳ジャーナル イベント報告


『日本翻訳ジャーナル』は、一般社団法人日本翻訳連盟(JTF)の機関誌です。翻訳に関する行事の案内や興味深い記事も多かったので、興味をお持ちの方はぜひご覧ください。

そこで、今年の9月に青山学院大学で開催された日本通訳翻訳学会第16回年次大会の紹介記事で、自分の拙い発表に言及して下さいました。学会では、

英語教師志望者の「英文和訳」と「翻訳」:プロダクトとプロセスの観点から

という題目で発表をさせて頂きました。当日は自分の方が多く学ばせていただき、足を運んでくださった皆様には心より感謝申し上げます。

手前味噌で恐縮ですが、当日配布したスライドを共有させて頂きますので、よろしければご覧ください。





論旨としてはざっと以下の通りです。


(1) 私たちが用いる「訳」という言葉には、「翻訳」と「英文和訳」が混ざっている。


(2) 英語教師も授業場面によって、「翻訳」も「英文和訳」もすることがある。


(3) 実際に英語教師志望者に中学校検定教科書の英文を「翻訳」してもらうとより日本語らしい文になり、「英文和訳」してもらうとぎこちない日本語になった。そしてこれらは言語類型論のIモードとDモードという分類で分析することができた。


(4) また訳した人たちにインタビューをすると、物語の世界に入り込んで訳そうとしていたことが明らかになった。


(5) しかし、「翻訳」文の中には、まだぎごちない箇所もあり、今後英語教員養成課程で「翻訳」指導を行うことで補完できるのではないか。


(具体的な訳文データやインタビューデータは、当日配布資料のスライドをご覧ください。)






以下、簡単な振り返りと自己批判を。

(1) については、日本の英語教育に関する議論の際にもこの分類は便利だと思います。ただ、これらの分類が必ずしも万能ではありません。何を以って「翻訳」とするか、といった操作的な定義は、どうしても主観による部分が出てきてしまいます。本発表はスコポス理論に基づいて暫定的に区別を引きましたが、やや強引だったかもしれません。


(2) は、英語教育学では馴染み深い「和訳先渡し」授業を取り上げて、訳文も学習者にとってはインプットの一つであると主張しました。そして、学習者の実情や単元目標によっては、訳文の言葉遣いを教師が調整したり、教師自身が訳出したりすることも時に必要なのではないかとしました。

(もちろん現場で毎回そのようなことをする時間はないかもしれませんが、たとえば授業で英語の歌を作るときなど歌詞を先生が訳す場合もあるのではないでしょうか。)


(3) は、従来の「翻訳」「英文和訳」の定義にはない、認知言語類型論の枠組みを用いた分析になっています。この部分については、修士論文でさらに明確に分析できればと思います。


(4) は訳者のナラティヴを用いて、訳文プロダクトには反映されなかった訳者の思いをできるだけ汲み取ろうと試みました。まだ分析の目ができていないのですが、物語世界に視点を内置しようとしている姿を紹介できたのではないかと思います。


(5) の主張は暫定的なものです。この点については、後に先輩の先生方からもご指摘を受けました。今後は、データの解釈を進めて、そのデータから言えるリーズナブルな主張になるように気をつけようと思います。



ということで、まとめて言うと「途中段階」という恥ずかしい発表になってしまい、また言語学も生半可な理解で通してきたため、多くのご指摘も頂きました。(ご指摘・ご質問下さった皆様、本当にありがとうございました。)


ただ、これまでの学会発表の中で一番手ごたえがあったというか、少なくとも、自分の言いたいことがこれまでの中で一番伝わった、という気持ちになれました。

来年度からは学会に参加できる時間もなくなっていくのでしょうが、時間を見つけて、翻訳や英語教育関係の学会には顔を出しておきたいものです。




ちなみに、来月に開催されるJALT Hiroshima のmini-conference で、大学院生活最後の発表を行わせて頂くことになりました。(と、さりげなく宣伝。笑)

A Proposal of Teachers' Questions Using a Translated Text


発表テーマは「翻訳発問」にしました。M1の頃にためていたネタだったのですが、翻訳を題材にして、翻訳論的視点(等価理論や文化翻訳など)から発問を作ってみたらどうだろう、という提案ができればと思います。


当日は、自分が模擬授業を行った後、皆様と「翻訳発問」や英語教育における訳活動に関して議論させて頂ければ幸いです。


また、当日はたくさんの興味深い発表が準備されているそうですので、どうぞお時間のある方はお越しください。




最後になりますが、「日本翻訳ジャーナル」の皆様、特に記事執筆者の三宅様には、心より感謝申し上げます。


2 件のコメント:

  1. すごいなぁ。最高の離婚とかの感想の記事とこんなすごい記事が共存するブログなんてなかなかないぞ笑。(近日中に「スターウォーズリーディング」という記事を書けたら書きたいと思っております。)

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  2. ありがと!良い意味で一貫性ないよな。笑

    スターウォーズリーディング楽しみ!
    May the force be with you!

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