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2017年1月1日日曜日

2016年を振り返って


久々の更新になります。mochiです。
昨年は、修士論文を書いたり、教員生活が始まったり、sava君が結婚したり、(ぇ
いろいろなことがありました。
学生の頃と比べて、時間の進み方がまるで違うことに焦っています。笑

それでもこの一年は、たくさんのことにチャレンジできたので良かったなと思っています。ありがたいことに、日本通訳翻訳学会の先生方とつながりを持てていたり、他校の授業参観に行かせていただいたり、さらにはウィトゲンシュタインのシンポジウムや英語授業セミナー、演劇ワークショップなどの自己研鑽にもある程度の時間を使うことができました。(とは言いつつ、振り返りの時間が取れていないのが残念。来年はきちんと振り返りをしよう!そしてブログを書こう!w


では、ここ最近読んだ本を備忘録的にメモしておきます。
今年も良い本にたくさん出会えたのできちんと文章化したかったのですが…また次の機会に。笑


言語学に関する本


◆ 「認知と言語」
日本語と英語を認知言語類型論的に分析した本。
修士論文で依拠したIモードとDモードの違いに通じており、とても面白かった。
実はこの両者が談話にもつながるという指摘は面白かった。
ただ、不定詞と動名詞の違いなどは自分の説明言語までなっておらず、再読が必要。また、昨年度の翻訳学会で発表した際に「認知言語類型論の教育学的意義は?」と質問されて以来悩みではあるが、英語教育への応用可能性は今後も考えたい。
著者の濱田氏は、新刊の「ラネカーの(間)主観性の展開」にも寄稿されており、そちらも来年に読みたい。


◆ 「仮定法を洗い直す」
英語の仮定法について、動詞の形と時制はそこまで関係ないのではないかという論旨。
研究授業の教材研究用に購入したが、読んでみてよかった。
収穫だったのは、「過去形仮定法」という用語が海外の文献で用いられているということ。過去時制のニュアンスを高校生に理解させるためにも、文法書などで「仮定法」と独立した章立てをするのではなく、あくまでも過去形の一用法として仮定法を導入できる可能性がある。(もっとも、このような試みは「一億人の英文法」などにもみられるが。)


宮沢賢治


平田オリザの影響で「銀河鉄道の夜」を再読し、それ以来宮沢賢治に興味がある。(余談だが、クラスのクリスマス会で500円程度のプレゼントを購入することになり、迷わず『銀河鉄道の夜』を選んだ。受け取った子に後で聞いたら喜んでくれたようで一安心。もっとも、大方の生徒からしたら「要らね〜」ということかもしれないが…苦笑)
年度始めは英語版の宮沢賢治を読んでいたが、やはり賢治の文体を英語で出すのにどの翻訳者も苦闘しているように思われた。できれば「銀河鉄道の夜」はきちんと翻訳分析して、投げ込み教材で使ってみたい。


以下で紹介するのは、学部時代にゼミの先生が紹介されていた本。


◆ 「贈与と交換の教育学」
年末に購入し、部活の行き帰りに一気に読み進めている。文学解釈から「師」や「贈与」について考察するわけだが、本書の優れているのはその方法論の合理性だろう。氏はなぜ文学作品を用いなければならないかについて丁寧に記述しており、納得しながら文章を読めた。
目に見える短期的な学力をつけることが求められる現場では、一種の「交換」の発想による教育によって、「贈与」性 (本書の用語では「生成としての教育」)が失われることも考えられる。だからこそ、「異界」「(絶対的)他者」「師」といった要素を無視すべきではない。


英語教育


◆ 『高校英語授業を知的にしたい』
人間形成的アプローチに立つ著者陣による新刊。エマワトソンのスピーチを題材にしたディスカッションや2分間スピーチといった実践紹介とその意義が示されている。近年の入試の傾向分析 (必要な力の分析) は、研修等で聞く話とずれもなかった。
おもしろい実践が多いが、そのほとんどが大学英語授業の実践であることが、やはり教科書をどのように扱うか大きな課題であることも物語っているように思えた。

◆ 『「論理」で読み解くリーディング』
大学受験向け (高3向けか) 。和田玲先生のセミナーに参加して、もっとこの方の話を聞きたいと思い早速購入。論理展開の型紹介 (パート1)、問題形式別解法紹介(パート2)、総合演習(パート3)という構成。論理展開も大切な内容だけれど自分のコミュIIでは扱いきれていないところだよなと反省――かといって英語表現でもきちんとできているかと言われるとキツいが――。ぜひパート1だけでも講座に使ってみたい。


その他
◆ 『少女』
読後の突き放し感が、さすが湊かなえ!という感じでした。笑
高校生の心情描写も「たしかに」と思いました。他者に怯えつつも欲するというむずがゆい感じが懐かしい。


◆ 『ジブリの教科書 ハウルの動く城』
ハウルの動く城は名作だな〜と再感 (笑) ハウルは前半と後半で時間の流れ方が違うというのは自分も思いましたが、宮崎駿特有の映画の作り方に由来するものだったとは。笑
年末の授業でも英語版の冒頭部分を扱いましたが、ソフィーの性格変化を英語で述べるくらいなら高校生でもできそうだなと思いました。 (準備はもっと丁寧にする必要がありますが。)



思い出せる限りでこのくらいでしょうか。

そして何より多くの方々の支えでこの1年なんとか乗り切れたという思いが強いので、感謝の気持ちを忘れずに、この1年も頑張りたいです。

最後に、今年の目標!


2017年の目標
<INPUT>
1) アダムスミス『道徳感情論』を英語で読む
→院生時代に途中で断念した本。『世界と英語と日本人』を読んで以来、もう一度トライしてみたいと思っている。

2) 翻訳学の勉強を引き続き進める
→具体的には以下の本。
『ラネカーの(間)主観性の展開』
東大名誉教授と名作・モームの『大佐の奥方』を訳す 英文翻訳術
翻訳の楽しみ 文芸翻訳の現在と可能性
I Love Youの訳し方

教材研究の合間にでも、モームの翻訳は自分なりに続けていきたいなと思っています。個人的には『I Love You』が楽しみ(高校生が好きそう。笑)


<OUTPUT>
1) 修士論文の投稿
→本当は去年のうちに行いたかったもの。春休みまでに必ず!(といってて、結局頓挫しそう・・・笑)

2) 学会投稿
→教育学系ですが、テーマも自由なもののようなので、是非教科教育系で1本を目指したい。

3) ブログ記事
→やはり久しぶりに文章を書くとしんどい。定期的に文章を(文書ではなく)書く癖をつけたい。